視察研修、IN、飛騨高山 丹生川 (有)橋場農園

道の駅、飛騨街道 渚にて
道の駅、飛騨街道 渚にて

10月8日の月曜日、トマトの出荷を終わらせて、午前10半・・・・

今日は、飛騨高山にある、橋場農園さんに視察見学に行きます

以前見学した、下呂の大黒屋さんから、見に行くと良いよって進められて

あれこれ連絡ルートを探し、結局、エコファーマ岐阜・飛騨美濃特産名人など

持っていらっしゃるので、上矢作のトマト組合長にお願いしたら

県の会議などでつながりがあるから、知っているということで

組合長に連絡をしてもらい、直接、行ってきました・・・・

 

同行者は、石川トマト農園ゆっこ社長とトキトキトマト農園の土岐君です

 

秋の高山祭り前日ということで、飛騨街道は混んでいて

車の流れも遅く・・・・道を急ぎましたが、昼食を道の駅で取り

到着したのは午後2時、県内移動でも約2時間半と

大都市、名古屋に行くより遠いのが、高山市です。

橋場農園、正面、ごく一部しか写らない・・・・
橋場農園、正面、ごく一部しか写らない・・・・

今回は、岐阜県高山市丹生川村にある橋場農園さんに視察見学に行ってきました

(有)橋場農園 さんといい岐阜のトマト農業界では有名な方です

橋場農園ホームページ

親子で経営されていて

夏秋トマト栽培 3.3ヘクタール

トマトジュース加工・販売 20t  

上記リンクのホームページにて販売してます↑

菌床ブロック製造  菌床椎茸栽培 12万ブロック

稲作と・・・・・

でっかいですね

 

近くに飛騨高山空港(飛騨農道離着陸場)がある平野で、とにかく広い地域です

標高は約670m程度と、花村トマト農園と同じですが

山間の平野ですから、中山間地で峠の狭い土地にへばりついてるような

東美濃地域とはずいぶんと違います

 

自宅周辺に広大な田畑があり、大きな物で1枚の田んぼが1ヘクタールくらいあります

春に福江営農さんに見学に行ったときの濃尾平野の1枚3ヘクタールといった巨大田が

延々と何枚も続くような景色では無く

1枚ごとに高低差があり、そこは山間地であることを感じます

 

経営面積が約10倍・・・・これは、土地柄でもありそうです

僕も、これだけ広大な田を持ってたら・・・・

拡大するだろうなあ~

近隣には高山市という人口集積地もあり、雇用の確保もしやすいということです

 

国の雇用事業も使い、中国人研修生も使い、10人以上の人間を年間雇用されているそうで

人件費だけで、僕の売り上げの12倍以上あるみたいです・・・・・・

 

僕の経営する、産地としての東美濃は、夫婦で25アールくらいが標準経営形態であり

下呂市でも大黒屋さんの様に狭い土地をやりくりして拡大している方をのぞき

普通は20~30アール

愛知県の津具村でも、同じような形態の方が多いのと比べると

飛騨方面は、1ヘクタール超が結構普通にいらっしゃる

もちろん、企業進出では無く、個人の農家で、やはり、まとまった土地を

持ってる方が多いという事は言えます

 

その違いを見学したいのと、前回見学した、大黒屋さんのすすめもあって

今回、忙しい橋田康夫社長さんにお願いして見学させていただきました

1時間という時間をいただけたのですけど、それだけでは、聞ける話も限られ

ほんと、見学しただけですけど、また機会があったら、2度、3度と

訪問させて、お話を聞けたらと、考えています

 

お忙しい中、訪問を受け入れて下さって、ありがとうございました

トマトジュースを買い忘れたのが、残念です、ネットで取り寄せようと思います。

 

ここのトマトの品種は、桃太郎8

東美濃では、8は耐病性が低いので

すでに、作られておらず、主力は桃太郎サニー、ギフト、そしてセレクト

と変わって来てますが、飛騨は病気が出にくい気候のようで

未だ8を主力にしているところが多い様です

桃太郎8が美味しい・・・・こうこだわる人も多いようです

確かに、東美濃でも、8を作らせてくれといって

8にこだわってる生産者もいます

 

長期で栽培すると、桃太郎8は病気も多く、

僕自身は、桃太郎自体が土壌や気候の影響を受けやすく

リスクが多い品種ですから、美味しくても、経営上の理由から

サカタのレイカを選択しています

暑い気候の所ほど、サカタ系の品種にシフトしてるみたいですけど

 

飛騨方面は桃太郎が標準ですね、これは、選果場ごとに

決めるので、僕もよく知りませんが、そうみたいです

最初に見していただいたのは、橋田農園のトマトジュースを製造する加工場

今日は中国人研修生が3人で、トマトを洗い、湯むき、ミキサーかけて絞る

瓶詰めして、加熱殺菌などの工程を行っていました

個人が持つ加工場としては立派です、こんな小規模ジュース加工場でも

内部の加工機だけで1千万以上はします、僕らでは個人では持てません

僕らがジュースを作るなら、当然ですけど

有料加工場に1瓶いくらで委託しかありません

 

ここで、1番すごいのは

僕らの考える、トマトジュースとは

夏場の、原価割れ出荷の時期とかに、C品や規格外品などを、

ジュースにして、販売単価を上げる

熟しすぎて、生食販売に向かない物を、出す

僕が、ジャムの原料に出しているのもこれです

 

ここは違いました

橋場さんでは、秋の味の乗ったトマトをジュースで味わってほしい・・・・

ということで、9月以降の味が乗ったトマトを使用しています

9月以降はトマトの相場も高く、加工より出荷に回すのが普通です

それを、ジュースにして美味しいのは秋のトマトだから

ということで、出荷用のトマトから20tものトマトをジュースに

回しているようです、これは加工向ばかりでなく

出荷用も使用しているみたいです

当然ジュースの価格も高く、日常的な金額ではありませんが

それでも、ファンがいるようで、全量売れてしまうそうです

 

こだわり・・・・

美味しい時期のトマトをジュースにして味わってもらいたい

橋場さんのこだわりから、ジュース加工場を作ったそうです

まあ、六次化の助成金ももらっているようですが、それでも

自己投資だけでも○千万円・・・・規模が大きく

資金に余裕が無ければ出来ませんし

こだわりに投資する、思い入れが無ければ・・・・

ましてや、秋のトマトで作るとは・・・・

びっくりしました

 

販売はホームページまで・・・  めいのさらだ トマトジュース

次に見せていただいたのは、菌床椎茸栽培施設

菌床の量は12万ブロック

大黒屋でも紹介しましたが、個人なら3000~4000ブロック

その約40倍・・・・

しかも、自己製造なので、寝かせる施設が必要だから

12万の栽培施設、12万の養生施設があると言うことです

施設は鉄骨の入った大型ハウスの大黒屋さんと比べても

普通のハウスで、それが何棟も並んでいました

熱心に話を聞くゆっこ社長
熱心に話を聞くゆっこ社長

ゆっこ社長が熱心に話を聞いています

石川トマト農園は、来年50アールと

恵那市の中でも最大規模のトマト農場になります

哲也が亡くなって、仲間が集まり、結果として、家族経営から

望んでも、望まなくても規模を拡大する事になってしまい

ゆっこ社長の精神的負担は・・・・たぶん、大きいですね

その、農場運営について、橋場社長にいろいろ聴いてました・・・・

 

僕は、規模を拡大しようとは考えていないので、黙って聞いてました ・・・・

こだわり・・・・

橋場さんの、もう一つのこだわり

それは菌床椎茸、名前の通り、菌床を使って椎茸栽培をするのですが

 

菌床を普通に購入すると、コストも高いです

12万もあれば、契約で作ってもらっても

コストは下げられそうですが・・・・

 

菌床の材料は広葉樹のチップです、買ってくると

実際、その内容はいろいろな樹木が混ざるそうです

橋場さんは、菌床に使用する樹木は本来

椎茸が生える種類の樹木を使用したいということで

 

自分で菌床製造工場を作ってしまったそうです

もちろん年中稼働するわけでは無いですが、一定の時期、稼働させて

菌床を製造し、自分だけで無く

丹生川村菌床椎茸の協同出荷している農家に供給してもいるそうです

材料は・・・・

自分の山から切り出す?だそうで、まあ地元の樹木を使用するということです

これもこだわりですね

買ってくる菌床が気に入らない、自分の山の吟味した樹木で製造したい・・・・・・

 

12万ブロックもあれば、自己製造を行い

ついでに、他にも売ることも出来るのでしょうが

この工場の投資金額だって、農家というカテゴリーを越えてます~

 

もーびっくり

大黒屋さんも、地元で出資して菌床製造の会社を他に作っていると

おおざっぱに聴きましたが、それは材料のこだわりよりも

コストの削減が第一だと思うのです

製造コストは、稼働率や、材料にこだわったりしていて、また養生施設も必要だから

決して、買うより安いとは言えないそうですが

それがこだわり・・・・らしいです

 

 

 

 

農場も見学させてもらいました

息子さんが管理している農場だそうで

5.4m間口の普通のハウスがいくつも並びます

 

高山は雪が降ります、積雪も1mではききません

なので、シーズン始めも遅いですが

シーズン終わりも早いです

積雪があるため、ハウスすべてのビニールも撤去し、片付けるそうです

そのため、水槽も無く、池が掘ってあり、灌水装置、ポンプも

電磁弁もすべて片付けて冬支度をするそうです

 

なので、トマトも最終段でした

桃太郎8は下段の葉っぱも取ってはいませんが

その葉が枯れているわけでも無く、全体にきれいなものです

栽培そのものも、きちんと行き届いており

橋場さんの目がちゃんと届いていることが分かります

 

トマトの出荷は、直接取引をしてる会社もあるそうですが

ほとんどが農協出荷だそうで

なので、大黒屋さんの様な、選果場やトラックを持ってはいないようです

橋場さん自身の、販売先の営業も必要無く

その分、栽培管理に目が届くようです

 

高山のトマト栽培は、東美濃と比べ、期間が短い

だから、余計にトマト専業では無理で

菌床椎茸や、ほうれん草などの複合経営になります

気候も夏秋トマトとに合っていて、夏場の出荷が中心です

これだけの大規模

土作りも、栽培も、ざっくりするのは避けられないようです

いくら、自分が栽培に関わっていても

長期にわたって栽培する事は無いため

それほど、トマトにこだわってるわけでは無く

桃太郎8にはこだわったけど

栽培技術や土作りなどの労力は、とても西の方

同じ県内でも、東美濃にはかなわないよ・・・・

こういう、大規模産地で栽培しやすいところは

ざっくりしてるよ~、とも言ってましたけどね

 

定植の本数も、10アールあたり約2400本と

東美濃の2000本と比べても多いのです

これは、短い夏場に大量のトマトを生産するパターンです

東美濃は、単価の下がる夏場を避け、単価の維持できる

7月前半と9月からの収量増を栽培の目的にして

二期作とか、疎植などの技術に向かっていて、一期で2400本と言う

密植の作型は今は避けられています

これを見ても、地域性で、栽培期間の短い高山は

夏場の短期で一気に収量を上げるパターンなのが分かります

夏場は単価も安いので、面積を増やして、量で稼ぎ

早めに、椎茸やほうれん草にシフトする・・・・

こんな感じでしょうか?

 

東美濃は、出荷期間を延ばし、平準化し、真夏のトマトの出荷量を抑制して

秋に持って行き、平均販売単価を上げていく方向です

そのために、土作りにも手間をかけています。

 

場所が違えば、トマトの作型も変わりますね・・・・

 

 

ゆっこ社長が一番聴いていたこと

農場の管理体制についてです

 

橋場さんは、農場を30アールくらいに分け

それぞれ、チームにして研修生などに管理の責任を持たせているそうです

それにより、管理の下手な人間は、責任者から外したり

まあ、いろいろ、人の配置には、気を使っている見たいです

 

給料も、時間給らしいですが、

責任者も、ちゃんと休日出勤と残業代を

きちんと計上するそうで、決して、歩合制で作業を

あおったりはしてないそうですけど

通年雇用なので、夏場の、農繁期の忙しい時期はそれこそ月収も

大きい金額になり、冬場の通常期には普通になるそうで

僕らが考える給料は、通年で固定給を払い、ボーナスで差をつけたり

そういうふうに考えてましたが

そんな事にはしてないそうで・・・・

 

ふつう、常用だと、正直働かない・・・・人が多い

だから、歩合とか考えるのですが

そこらも、橋場さんが見ていて、配置換えや、

いろいろ、考えて、各チームの生産量が予定より落ちたりしないように

いろいろ、やりくりをする、苦労があるようで・・・・

そこらは、わずか1時間の話では、伺い切れませんでした

 

ゆっこ社長は、その、仕事の任せ方にも、興味があるようで

自分は社長として何に気をつかったら良いのかなど、聴いてました

特に、残業代、休日出勤代を毎月払うあたりは驚いていました

石川トマト農園を見ていても、チームワークを作るのに苦労してるの

分かりますし、個人のように、徹底的に責任を持って

栽培管理をしてもらうにはどうしたら良いのか

そういうことも、これからは考え無いといけないですもんね・・・・

がんばるだよ、ゆっこ社長

 

 

 

広い一枚田に、普通のパイプハウスがずらっと並ぶ

その近くに自宅

そして、菌床製造工場

ジュース加工場、椎茸の保冷庫と選果場

研修生の寮

土地が広いってのは重要項目です

 

大黒屋さんは狭い山の斜面に、高低差のあるハウス群

それも耐雪型の強固なもの、自動化もしてあり、コストもかかります

拡張するのも大変な場所です

 

ここは、拡張は、比較的容易に感じましたし、一つ一つには

決して必要以上のコストはかかっていないように見えます

 

橋場さんは、どれだけ規模を拡大しても、トマトの面積あたりの生産性

菌床一つあたりの生産性が基本だと言いました

それが低かったら、規模を広げても成り立たないと話してくれました

 

桃太郎8は栽培には気を使う品種だけど、引き合いも多く

販売には困らない

確かに、日本のトマトの標準はまだ桃太郎です

美味しくて、高品質の桃太郎が生産できれば

引き合いは、どこでもあるでしょう

桃太郎はその栽培の不安定さが問題なのですけど・・・・

 

レイカ、リンカ、みそら64などの品種は、生産性は安定するけど

どこでも売れる品種では無い、売るのに苦労すると言ってました

大黒屋さんは、生産性のために品種を選び、自分は栽培に手を出さない

販売には苦戦することもあり、捨てる事もある・・・・

橋場さんは、桃太郎で生産する事にこだわり、自身での管理に手は抜かない

販売は農協に出して、全量、販売に困ることは無い

 

規模は大規模でも、経営方針は違うようです

橋場さんは、大黒屋さんの曽我さんを、あんなバイタリティのある人はいない

すごいと思うよって言ってました・・・・

確かに、規模拡大のハードルは、橋場さんの方が低そうですが・・・・

僕らから見たら、どちらも、ハードルが高い・・・・

 

僕自身は、39歳で就農した遅咲きです・・・・

大黒屋さんの曽我社長の様な、能力もバイタリティも、無いし ・・・・

橋場さんの様に、歴史も能力も土地も無い・・・・

 

 

橋場社長と、石川トマト農園ゆっこ社長も一緒に
橋場社長と、石川トマト農園ゆっこ社長も一緒に

百人いれば百通りの百姓

いろんな経営がありますよね

どこにこだわるか・・・・・

同じような大規模で、中国人研修生を使い、通年雇用し

トマトと菌床椎茸を経営の柱にしていても

 

大黒屋さんは、農協から独立していて、独自販売にこだわり

橋場さんは農協に協同出荷しながら、こだわってジュースや菌床を自家生産する

 

僕から見たら、どちらも、まねの出来ない経営です

もし僕が規模拡大するなら、橋場さんの方ですが

場所は、上矢作では無理だ・・・・

隣の岩邑町のまとまった土地を借りて行わなければならないけど

まとまった土地は借りられないし

大黒屋さんみたいに、コストのかかる拡張もなあ

 

僕らの、トマトの栽培期間は、雪が降らないだけ長い・・・・

狭いだけに、土作り、栽培管理には本当に手をかけている

ざっくりした栽培に比べたら技術的には、努力している

職人芸の栽培を目指しているのですけども・・・・

品質、味でひけを取っているとは思えないし

もし、そこで負けるようなら

本当に、情けない・・・・

 

規模拡大には向いていない地域の事情を考え

きちんと家族が食べていける

経営モデルを

考えていかないと、いけないと思いましたね

 

ここは

小さい農家が集まって産地を形成し、大規模な産地に対抗して

中津選果場全体で10ヘクタール程度と小さいながら、

東美濃トマトのブランドを確立しているのが

恵那市・中津川市の東美濃地域です

それに、栽培期間も長いし、一軒一軒は小さいから

決して、ざっくり栽培しては、対抗できない・・・・

そういうのは感じましたね

 

まねは出来ないけど、それぞれこだわりを持っている

僕らは何にこだわるの?

考えさせられました

 

やっぱり、視察見学は良い

見ないと分からない、知らないと気づかない・・・・

 

橋場社長、ありがとうございました

 

まだまだ精進、いろいろ考え無くちゃいけません。

 

後書き・・・・

 

最近、下呂や高山に行くのに

通り抜けながらもスルーしてますが

実際、東美濃でも、加子母村の加子母選果場は

同じ農協管内でも、別の産地です・・・・

しかも、気安く見せてはくれません、敷居が高い

交流も無く、トマト農家は、なかなか友達にもなれません

 

岐阜県でも最高レベルの栽培技術を持ち

いくつも部会を作り、栽培管理の、レベルの統一を図り

エーザイ生科研などの肥料会社をコンサルに迎え

協同で、ジュースや加工品も作る

加子母ミネラルトマトのブランドを持ち、地域一丸となって

強固な連携をしている、加子母地区

都会の人が、トマトで就農するための受け入れ体制を

組合自ら作ってしまうほどの、産地

中津選果場とは比べものにならない、その実力・・・・

 

僕の様に、個人的に勝手な動きをしたら、組合長が

家に乗り込んで来そうで怖い・・・・逆にはみ出せない

中津選果場は緩やかだから、僕の様に自由に見て回れる・・・・

 

加子母地区に僕らの様な農家の

一つの産地としての理想型があるのも事実

 

しかし、僕の様な自分勝手な人間にとって

もっと自由な感じでやりたいのも事実

なので、まだまだ、オフシーズンの視察見学研修は続きます

 

次回をお楽しみに~