これからの農家、産地の方向性として、僕が思うこと
個人はもちろん、面積の小さな小産地も
価格決定権を自分が持つ事に尽きると、思います
価格決定権を人に預けたまま、収益を上げることは
ハードルが高いと思います
産地内において、反収をどれだけ上げたのか? そういう競争だけして
販売に対しては、今年は安かった、高かった、もっと農協がなんとかしろ
市場に行って、文句を言ってこい・・だけでは
もう、収益はあがらないと思います
もちろん、反収を上げる事、その為の栽培技術なども重要ですが
それよりも、自分達の作るトマトの商品としての価値を考えた
栽培技術も考える必要があると思います
価格決定権を持つためには、商品として
お客様が欲しがるトマトで無ければならない
一度ならず、また、何度も買ってもらえるトマトでなければならない
お客様が欲しがるトマトなら、小売りも欲しがる・・
そうすると、価格交渉が出来る・・という事です
個人はもちろん、小産地こそ、こういう価格決定権を自分達で持つ事が
これからの、営農の一番の重要課題だと、僕は考えています
反収も高くないと、なりません、だから、反収を意識する事も必要ですけど
出荷期間全体にわたって、平均的に出荷できる事も重要だと思います・・
反収は高いけど、7月、8月に偏っていては、商品としては、扱いが悪いのです
食味も重要です
それは、桃太郎だから美味しい、麗夏だから不味いなどという
レベルの低い話しではありません
美味しい不味いを問うなら、品種が何か?、よりも栽培者が誰か?の方が
ウエイトが高く、産地間でも、品種より、どの産地のものか?の方が
価格に影響しています
トマトの商品価値は、もっと客観的な物です
お客様が欲しがってくれて、また・・また買ってくれるトマトであり
お店でも必ず売れるアイテムであること
日持ちが良いのはもちろんですけど、 店の販売ロスにならないこと・・
どうしたら、そういうトマトを、個人で、産地で栽培出来るのか?
生産者はもっともっと、そこを追求するべきでしょう
産地の組合なら、役員は、そこに付いて、見識を持つべきでしょう
僕自身は、そう考えて、個人の営農活動をしていますし
産地の末端の役員として、アプローチをしています
現実は、そういう事を理解してくれる
産地の農家、農協の職員・・まだ少数派です
それでも、トマト農家として生きて行くなら、それを
やらねばなるまい・・・・そう決心していますよ
提言とか言っちゃって・・偉そうな事を言える物では無いんですけど
これから、新規就農を目指す人に、僕からの、提案です
僕が就農するとき、先輩農家から言われた事は
農家は、作る事に専念し、良いトマトを沢山生産する事に専念すべきだ
売る事は、農協と、市場に任せておけば良いんだ・・
そう、言われました
これは、平成19年の事です
それから、10年間営農してみての結論は
現在、協選出荷だけに生活を安心して預けられるか? と言ったら
厳しいですよ・・と言わざるを得ません
土地も、家も持たない新規就農者が、年間150万円の補助金をもらって
産地に研修を受けに入って来る様になりましたが
研修期間中、補助金もらってると、アルバイトも出来ないから
開業資金の為の、お金も貯められないのです
そこから土地を探して、家を探して、就農するのも一苦労です
さらに、生活をして、新たに財産を築いて行く事は、
今の現状を見るに、大変に厳しいと言わざるを得ません
食べていけるのかどうか?・・そんなレベルです
僕の個人的見解は、出来る人は、そんなシステムに乗らずに
むしろ産地より、都市近郊に就農し、多額の資金を借りてでも
温室と直売所を作って、自分で売って見てはどうか?
平野の都市近郊農家にそういう人が、少なからずいるようです
産地はシステムが出来ているから就農しやすいし
補助金も、もらいやすいから始めやすいけど
売るのは人任せなので、その収益があまり良くないのです
就農のハードルは上がりますけど、都市近郊の冬春で近隣住民や店舗に
直接売るスタイルを取っている農家の方が、はるかに良い収益を得ているのを
みると、産地で就農ってのも、いかがなものか?と考えざるを得ません
もちろん、家も土地も産地内にあるなら、この限りではありませんけど
家も土地も当ても無い人は、よく考えた方が
もっと、いろいろの成功事例を視察した方が
良いのではないか?・・・・と・・・・思います
今は、補助金もあるし、今年は新規就農者の研修施設も出来るので
トマト産地としては・・・・
新規さん、いらっしゃーい状態ですけど、入り口は広く・・
出口は狭い・・出口は補助金に縛られ、借金も負い
産地のシステムに取り込まれ、いち生産者になるしか無い・・・・
自己資金が無いと、そういう事にもなりかねません・・・・
都市近郊にて、施設農業を始められる人は、
産地でなく、スタンドアローンなので、支援が少なく
そこで始められる人は
ある程度なんでも起業出来るだけのスキルがある人だと思います
そういう人は、あの手この手、利益を上げる事を考えられると思います
営農において、作る、栽培するという技術の占める割合は、実は高く無いのです
自営業として、仕事を段取りできるのは当然として
販売から、客商売や、宣伝など、多岐にわたっての仕事が出来た方が良く
そうでないと、収益を上げられません・・
めんどくさい、人と付きあうのが嫌、トマトだけいじっていたいという人は
もちろん、産地の生産者しか、出来ません・・
それでも、人付き合いはあり、めんどくさいですけどね
しかし、産地の生産者にとどまる限り、収益は高くなりませんよって事だけは
言えると思いますので、言います・・(笑)
僕個人の意見は・・
農業の研修なんて、2年も受ける必要は無いんです
ただ、他所から来ると、この2年で、土地になじんで
土地と、家を借りる算段の為の時間になりますけど
産地に住んでいて、土地があるなら、研修など要りません
ただ、研修期間を経ないと、そのごの5年間も150万円が
もらえないので、研修するのは、ありかもしれませんけど(笑)
就農するには、やる気と、挑戦心があれば、即出来ますよ・・
栽培技術の占める割合が低いのだから
必要なのは、自営業スキル・・それがあるなら
さっさと始める事も可能だと思いますよ
あと、商売を始めるなら、なんでもそうですけど、儲かってる人の話を聞いて
儲かってるビジネスモデルをしっかり理解する事ですよね・・・・
マネをするなら、儲かってる人をマネする事ですよね
農業は儲からない、厳しい、大変だ・・・・・・
こういう事を言う人は、その人自身がそうなんだからね (笑)
マネしたら・・・・大変になりますよ・・(笑)
花村トマト農園の技術についてでも、書いておりますけど
農業経営に一番必要なのは
商売人としての、心構えですよね・・
生産者であり、供給者としての、自分のトマトの商品価値を
しっかり考えられるかであって、
栽培技術を習得するのも、そのために、技術を応用するのであって
技術が前面に出ることは、本来、無いと思いますね
美味しく作るのか? それとも、収量を上げるのか?
契約用に長々と栽培するのか、短期で収量を上げるのか?
目的によって、同じ技術でも、使い方は変わって来ます
自分の経営の方向性を良く見極めて、
技術についても学んで、応用して行く物だと思います。